その人らしい装いはどのようにして生まれるのか——自分らしい生き方を確立している方たちのライフスタイルとお気に入りの一着との関係性を紐解く連載『私を語る一着』。
第6回にご登場いただくのは、文筆家として活躍されている芳麗さんです。
文筆業のキャリアは25年以上。雑誌や書籍、WEBで人物を掘り下げたロングインタビューを数多く手がけるほか、女性の生き方をメインテーマにコラムニストとしても活躍。また音声メディアVoicyでは「芳麗の女と文化の話Café」、Podcastでは「ひうら芳麗の楽女なニュース」を展開するなど、さまざまな媒体で仕事を通して得た知見や社会への深い洞察をシェアしています。
愛用しているソージュアイテムの中でも、特に出番が多いという、ペイズリー柄ワンピース。パンツスタイルの上にローブのように重ね、たおやかなオーラを放つ芳麗さんの周囲には、自然とリラックスした空気が流れます。
この一着のワンピースが物語る、彼女のストーリーをお届けします。
ソージュの服は、どんな道のりを歩いていても包み込んでくれる懐がある
ソージュと出会ったのは3、4年前ですが、いまの私のベーシックを支えてくれているブランドだと思います。私は身長が高くて、体重変動も大きく、もともと痩せている方ではなかったから、若い頃からサイズで悩むことが多かったんですね。でもソージュの服を着たら、サイズが合うだけではなく、きれいに見えた。「まるで私のためにあるみたいに、しっくりくる」ことに驚きました。
いま穿いているワイドパンツも、体型が気にならないから、生地違いで愛用しています。ソージュの服には、大柄な人から小柄な人まで、みんなをきれいに見せるマジックがありますよね。
ソージュを教えてくれた、エッセイストの小川奈緒さんと「同じものを着ていても、被っている感じがしないのがいいよね」と話すこともあります。体型や年齢、キャラクターが違う人たちがそれぞれの世界観を表現できる。ファッション歴も含めて、生きてきた道のりを包み込んでくれる懐があると思います。
いつ着ても、ある程度年齢を重ねていても、きれいに見えてリラックスできる服が、私にとってのベーシック。きれいな色が好きだから、鮮やかな色のバッグをもつこともありますが、ソージュの服だとそれが映える。少しインパクトのあるアクセサリーを入れるのも、いまの自分にしっくりくると感じています。

私にとって、装いは“コミュニケーション”
インタビュアーとして、ミュージシャンや作家の方.......本当にいろんな方々とお会いして思うのは、「自分がどんな人間かを伝えないと、相手が人生まで語らない」ということ。
普段の会話もそうだと思うのですが、この人は話がわかりそうだなと思うから話すのであって、興味がなさそうであれば話さないですよね。インタビュアーにどれだけ懐と人間力があるのかというのはもちろんのこと、キャラクターが伝わると話してもらいやすいかなと思っています。
だから、インタビューするときの服と日常で私らしくありたいときの服は、私の場合はほぼ同じなんです。相手を威嚇するような派手な服は着ないけれど、自分はこんな人間だと伝わるような服を着るようにしています。
その点でもペイズリー柄ワンピースは本当に絶妙。ローブっぽく羽織ると、ちょっとドラマチックな非日常感も表現できて、揺れ感もきれい。パンツを合わせるとストンとした縦のラインが強調されるし、柄物でも威圧感がないですよね。日常でも旅でも着ますが、取材でもよく着ています。
私にとって装いは、他者や社会とのコミュニケーションであり、自分とのコミュニケーションでもあります。心地よい状態でいるのは、自分のためだけではない。自分も他者も幸せな気持ちになれるようなファッションがいいなと思います。
思い返してみると、うまくいくときは、いつも自分が好きな服を着ているときだったなと。自分を表現することはどんな場でも大事だと思っていて、「人に思いやりがあるけれど、自分を表現する服」としてソージュのいろんな服を思い浮かべるし、その象徴としてのペイズリー柄ワンピースだなと思っています。

「大きい指輪は自分らしい感じがして安心する」という芳麗さん。身につけているのは、普段から愛用しているパリのジュエリーブランド「CÉCILE ET JEANNE(セシル・エ・ジャンヌ)」のもの。
人生を豊かにするために、土台を整える時間も必要
私は40代半ばで結婚したんですが、それまでは日々すごくたくさんの仕事を入れていました。1日に2本インタビューすることも普通で、インタビュー以外にはコラムを書いて、さらにそのコラムを書籍化するというような日常で、まさに仕事中心。美容や健康にいいことをしながら、体に悪いこともするみたいな、極端な選択を重ねるなど矛盾を抱えて生きている感じでしたが、最近はだんだん変わってきました。
書くことがずっと本業で、それに対して時間をかけてしっかり取り組んでいたから、ちょっとした音楽の感想も気軽に発信できなかったんですよね。でも、喋るのだったらいいかなという気持ちになって、5年くらい前からVoicyを始めました。すごくシンプルにいうと、40代後半以降は「もう少し自分を解放していった方がいいな」と思うようになりました。
仕事を頑張らなければいけない時期は定期的にやってくるけれど、生活の土台を整えないとこれ以上先に走れない。次のフェーズに行きたいのなら、仕事し過ぎている場合は緩めて、ちゃんと自分に立ち返る時間が必要です。
それは人をインタビューしていても思います。定点観測で長くアーティストの取材をしていると、たとえ世の中では一時期ほどは活躍していないように見えたとしても、その人の人生を豊かにするための絶対大事な時間があるのだということがわかる。
社会で生きていると、頑張らないとダメと思い込んでしまうところがあるけれど、すごく俯瞰してみたら、やっぱり自分を整えること自体が大事なんだなと思います。
自分のためになったことが、誰かにも届くように
私が物書きになったのは、女性の生きづらさをテーマに取り上げている雑誌で、読者コラムニストにピックアップしていただいたことがきっかけなんです。
差別とか不公平はあらゆるところにありますが、普通に生きている人にちょっとでも楽になったとか、よかったと思ってもらいたい。それが仕事を続ける上でずっとモチベーションになっているし、私自身のテーマでもあるんですよね。
一見恵まれているように見える人も、突き詰めていくとベーシックなことに悩んでいたりします。彼らはこうやって乗り越えてきたんだと生きるヒントをもらう一方で、「どんな考え方でも、どんな生き方でもいいんだ」ということが、さまざまな人にインタビューしていくうちに腑に落ちていきました。
だから、「いろんな価値観を知って、視野が広がる」のはすごくいいことだなと。インタビューしてきたことは自分のためでもあったけど、きっと誰かに届けるためにもすごくいいことだったんだと思います。
ソージュはたくさんの人のお悩みを聞いて、それに寄り添うところからスタートしていますよね。だから多分、いろんな人を包み込む懐があるんだと思います。良いものを良心的な価格で届けるために、創意工夫を重ねているところも私の好きなクリエイティブ。人のためにクリエイティブであろうとするところに共感しています。

ペイズリー柄ワンピースにデニムライクタックワイドパンツ(INDIGO)を合わせてくださった芳麗さん。
聞き手/文:中島文子
《Profile》
芳麗
NHK山形放送局のキャスターを経て文筆業へ。「聴く・書く・話す」を地続きの表現活動の軸に、女性の生き方、ウェルビーイング、カルチャーをテーマに執筆・発信。東洋経済オンラインでは人物インタビュー連載「何度でも開花する人」を担当するほか、雑誌・書籍・Webなど多様な媒体でロングインタビューとコラムを手がける。
著書に『3000人にインタビューして気づいた! 相手も自分も気持ちよくなる秘訣』(すばる舎)、『ラブ・リノベーション』(主婦の友社)など。音声でも活動し、Voicy「芳麗の女と文化の話café」や、漫画家のひうらさとるとのポッドキャスト「ひうら芳麗の楽女なニュース」を配信中。日々の取材と生活の実感から、変化の時代を“心地よく生きるヒント“を探究している。




