SOÉJU k Special Content
AS YOU ARE
スタイルをかたちづくるもの
仕事のこと、暮らしのこと
長く続けていることや、夢中になれること
それぞれの日常に耳を傾けることで
その人が何を大切にし、何を選んでいるのかが見えてくるはず
さまざまなフィールドで活動する人たちとの会話を通して
日々の過ごし方と、その傍らにある装いを紐解いていきます
#02 Tomoka Naka
Profile
中友香/書道家
6歳から書道を始め、会社員やアパレルでの仕事を経て書道家として独立。現在は国内外で作品を発表するほか、ファッションブランドとのコラボレーションなど、書を軸に幅広く活動している

好きなものと、これからも
—書道を始めたのは6歳の頃だそうですね
はい。6歳から始めて、気づけば30年ほどになります。会社員として働いていた時期もありましたが、書だけはずっと続けていました。私にとって書道は、特別なものというより、もう日々の暮らしの中に自然とあるものなんです。ご飯を食べたりするのと同じように、生活の一部になっています。
—書道をしているときは、どんなことを考えているんでしょうか?
「無」に近いですね。何か余計なことを考えていると、それがそのまま筆に表れてしまうんです。だから、できるだけ何も考えず、ただ書くことだけに意識を向けています。お腹が空いたとか、トイレに行きたいとか、そういう感覚さえなくなってしまうこともあります。気づいたら10時間経っていた、なんてこともあって。
そして、ある瞬間にふっとその世界から抜けるんです。その途端、一気に現実に戻ってくる。書いている間は時間の感覚さえなくなるので、不思議ですよね。自分の内側に深く潜っていくような感覚があります。

—書道家として活動を始めた頃は、アパレルの仕事もされていたそうですね
そうなんです。もともと洋服がすごく好きで。大阪にいた頃は、街を歩いていて素敵な服を着ている方がいると、思わず「どこのお洋服ですか?」って声をかけてしまうくらい(笑)。
書道も好き、ファッションも好き。その二つを、いつか自分なりの方法で掛け合わせられたらいいな、とずっと思っていました。だからこそ、ファッションの世界を自分自身で知っておきたかったんです。書を軸にしながら、異なるものと出会うことで、自分の表現も広がっていく気がして。
—実際にいまは、ファッションと書道を掛け合わせた仕事もされていますね
そうですね。「こんなものがあったらいいな」という感覚は、以前から自分の中にずっとありました。それを頭の中だけで終わらせず、実際の作品として形にできることが、今はすごく楽しいです。これまで自分の中に少しずつ溜めてきたものを、必要なタイミングで取り出して、一つの形にしていくような感覚でしょうか。
書もファッションも、一見すると違うものに見えますが、私の中ではどちらも「美しいものをつくる」というところで繋がっているんです。だから、今こうして二つを掛け合わせた表現ができていることは、まさにずっとやりたかったことなんだと思います。

—今回着ていただいたSOÉJU kはいかがでしたか?
シルエットがとても素敵だと思いました。パンツはワイドでゆったりしているのに、ジャケットは短丈なので、自然と重心が上がって、全体のバランスがすごくきれいに見えるんです。着心地にはゆとりがあるのに、都会的で品がある。リラックスして着られるのに、カジュアルに寄りすぎないところも魅力的でした。もともとセットアップが好きなんです。単品で買ったつもりでも、結局「やっぱり上下で揃えたい」ってなってしまうんですよね(笑)。

—今日のスタイリングで意識したことは?
セットアップ自体はシンプルで落ち着いたトーンだったので、足元に赤を入れて、ベルトも同じ色で揃えました。アクセサリーはゴールドにして、ヒールを合わせることで、少し女性らしさも加えています。
私は、その日の場所や気分に合わせて、異なるジャンルをミックスするのが好きなんです。全部を足してしまうのではなく、足すところと引くところをつくる。少し余白を残して、きっちり決めすぎない。書にも通じるところがありますが、何を入れるかだけではなく、何を入れないかも大切だと思っています。
—洋服を選ぶときに大切にしていることは?
最近は、時間を重ねながら長く寄り添ってくれるものを選ぶようになりました。もちろんトレンドも好きですし、ファッションとしていろいろなものを楽しみたい気持ちはあります。でも、その中でも「これはずっと手放したくない」と思えるものを選びたい。
スタイリングを楽しむのが好きなので、洋服そのものはどうしても増えてしまうんですけど(笑)、一着を選ぶときの感覚は、以前とは少し変わってきたように思います。その瞬間だけではなく、時間が経ったときにも好きでいられるか。そんなことを、少し考えるようになりました。

—ゴールドのアクセサリーも、そういう感覚で?
そうですね。ここ数年はずっとゴールドを身につけています。長く大切にできるものを選びたいと思うようになってから、自然とゴールドを選ぶことが増えました。
自分が今身につけるだけではなく、いつか子どもや、その次の世代へ受け継いでいけるようなものだったら素敵だなと思っています。時間が経つことで価値が薄れるのではなく、むしろ時間とともに、その人だけのものになっていく。そういうものに惹かれます。

—最後に、今後の展望を聞かせてください
これからは、「書」という日本独自の文化の魅力を、今まで以上に海外の方にも伝えていきたいです。海外でのエキシビションやパフォーマンスにも挑戦してみたいですし、「書」をもう少し日常に近いものとして、カジュアルなアイテムに落とし込んでいくこともやってみたい。
書道というと、少し敷居が高く感じられる方もいると思うんです。だからこそ、もっと自由に、もっと身近に「書」に触れられる入り口をつくっていきたい。そして、「書がある暮らし」というものを、作品として見るだけではなく、自分の暮らしの中で感じてもらえたら嬉しいです。
「書」は、ただ文字を書くものではなく、その人の心や、その瞬間の時間まで映し出すものだと思っています。だからこそ、時代や国を越えて、誰かの心に残るような「書」を届けていきたいですね。







