Interview vol.4
SOÉJU Meets
KASUMI
「普通でいい」
自分を解放した等身大の定番服
すらりとした長身の美しいプロポーションに、ベリーショート。端正なルックスで活躍するモデル、KASUMIさん。素顔はとても親しみやすく、ほんわかした雰囲気がたまらなく魅力的な方です。
そして実は、ソージュがスタートしたばかりの頃に、公式サイトのモデルを担っていただいたこともあるモデルさんなのです。
今回は、「普段は思いっきりカジュアル」というKASUMIさんとソージュのコラボレーション。デニム、ヴィンテージTシャツ、スカーフ....、お気に入りの私物をご紹介いただきながら、ご自身の好きなスタイルについてお話を伺いました。
Profile
KASUMI
秋田県出身。
ファッションの世界に憧れて、就職した会社を辞めて上京。2011年に文化服装学院を卒業後、モデルに転身。2012年にヨウジ ヤマモトのコレクションモデルとしてパリコレデビュー。ショーや広告、雑誌など、ファッションの第一線で活躍している。プライベートでは一児の母。インスタグラムでは、ほのぼのとした日々の風景を公開中。
Instagram: @punsumi
マイスタイルをつくる「デニム」
KASUMIさんの定番服は、デニムとボーダー。クローゼットにあるデニムは常に6、7本、ボーダーカットソーは色違いで揃えるという徹底ぶり。ソージュのアイテムもデニムと組み合わせることで、こなれたニュアンスが生まれます。
「普段からデニムはよくはいています。丈夫で汚れが気にならないのがいいし、はけばはくほどかわいくなる感じがして。デニムとボーダーはもう制服ですね(笑)」
とろみのあるチェーン柄ワンピースに、長年愛用しているリーバイス501を合わせて。ほぼ毎日被っているというキャップと、愛犬の散歩で履いているスニーカー、親しみのあるアイテムをうまく溶け込ませて、カジュアルダウンするのもKASUMIさんならではのテクニック。
「このワンピースはストンとしている形が好きだし、柄が繊細でかわいいですよね。ワンピースがきれいだから、デニムとスニーカーでバランスを取ってみました」
インスピーレーションで選ぶ「ヴィンテージTシャツ」
繊細なワンピースにはスニーカー。でも、ヴィンテージTシャツとワイドパンツのコーディネートの場合は、あえてスニーカーは選ばない。KASUMIさんのスタイリングは、さりげなく「全身のバランス」を意識していることが伝わってきます。
「スニーカーにこの T シャツだと、ちょっとゴツくなってしまう気がしたので、ソージュのパンツとのバランスも考えて、バレエシューズを合わせました」
ヴィンテージTシャツは、KASUMIさんが愛してやまないもの。選ぶときは、難しく考えずにインスピレーションを大切にしているのだそう。
「私は本当にくだらない感じの、みんなが『これ、かわいいの?』と言うようなTシャツが好きなんです。ヴィンテージTシャツは、昔はすごくたくさん持っていたんですが、最近は少しずつ減らしています」
「古着の中で1軍のTシャツもあるんですけど、その1軍から下がったものはパジャマになったり。でもパジャマになったものが、かわいく見えてきて、また1軍に上がることもあるんです。気分屋なんだと思います(笑)」
自分に似合うものは感覚的に分かる
リネンライクな生地感が涼やかなコクーンブラウスは、ナチュラルなカーキブラウンが、KASUMIさんらしい雰囲気。ブラウスの色に合わせて選んだ、赤のバレエシューズ、プリント柄のコットンスカーフなど、小物のアクセントが利いた大人っぽいデニムスタイルです。
「このブラウスの触り心地が好きです。色も自分の服と合わせやすいかな。カジュアルとはいえ、きちんとしているイメージだったので、その雰囲気に合わせたジーンズを選びました」
最近購入した少しよそゆき感のあるジーンズ。手に入れた経緯を聞くと、自分に似合う服を知っている人だからこその理由がありました。
「最初はジーンズを買うつもりはなくて、ちょっときれいなデニムジャケットがほしくて、お店に行ったんです。それでコーディネートを考えたとき、私が着るならセットアップがいいなと思って、デニムジャケットに合わせて、ジーンズも買ってしまいました」
会社員生活から一転、モデルの世界へ
Styling by KAZU
ソージュからKASUMIさんにご提案させていただいた、オールソージュで組んだワントーンのシャツスタイル。これまでのラフな表情とは打って変わって、凛としていて艶っぽい、優雅なオーラが際立ちます。
「きれいな服は仕事だと着られるんですけど、普段着ようと思うと、なんか恥ずかしくなっちゃうんですよね」と笑うKASUMIさん。日常の何気ない時間が大切だから、服装も無理に頑張りすぎない。自分らしいスタイルが定着してきたのも、いろんなチャレンジを通して、わかってきたことだと話します。
「文化服装学園のスタイリスト科にいたときがあって。その頃はごちゃごちゃした古着を着たり、毎日のように伊勢丹に行って洋服を見たりしていました」
KASUMIさんが文化服装学院に入学したのは、地元の秋田で一度就職してからのこと。受け身での会社員生活から、初めて能動的に動いたのがファッションの世界。だからこそ、学ぶことには貪欲でした。
「私は 22 歳で入ったから、みんなより年上。勉強するのも楽しくて、結構真面目に頑張っていました」
そこからさらに、モデルの道へ進む転機が訪れます。
「新しくモデルコースができるということで、先生に薦められて入ることになりました。当時、学校でピエール・カルダンの60周年を記念したショーがあったんですね。試しにオーディションを受けてみたら受かって、『モデルをやってみたい』と思うようになりました」
Styling by KAZU
着用アイテム
黒をやめて「普通でいい」ことに気づけた
ヨウジ ヤマモトのフィッティングモデルから昇格して、パリコレデビュー。順調なキャリアスタートに思えたのも束の間、全身を黒で固めたクールなスタイルで、いくつものオーディションに挑むもなかなか決まらない。KASUMIさんがこの時期に抱えていたのは、なんともいえない「閉塞感」でした。
「黒を着ていた時代は、仕事が全然うまくいかなかったんです。黒い服ばかり着てるからか、楽しくないというか、気分もあまり乗らなくて」
「ある日、『もういいや!面倒くさい』と思い切って黒をやめて、自分の好きなデニムとTシャツを着て、オーディションに行ったんです。そしたら仕事もうまく行き始めて。『なんだ、別に普通でいいんだ』って気づきました」
その後は仕事だけでなく、私生活も順調に運び、現在の旦那さんと結婚。黒をやめた時期と重なったのは偶然かもしれませんが、ステレオタイプのモデル像から解放されたことは、KASUMIさんにとって大きな転換点になりました。
Styling by KAZU
今回、KASUMIさんに着ていただいたクルーネックブラウスとドロストパンツのセットアップもオールブラック。久しぶりの「黒」をどう感じられたのでしょうか?
「モデルを意識して着ていた黒とは違う感じがします。あのときより、ゆったりしているのかな。このパンツもウエストが紐だからすごく楽。子どもと遊んでるときにもいいし、犬の散歩のときにもいい。ちょっとお出かけのときにはシャツを着ればきれいにもできるから、使いやすいなと思いました」
Styling by KAZU
自分の好きな服を着る「勇気」
KASUMIさんにとって、ファッションとは「自分を楽しくさせてくれるもの」。他人目線に縛られずにおしゃれを楽しむには、何が必要でしょうか。
「『勇気』かな。主張が強い服も、好きなものなら、着れば気分が上がるから。でもやっぱり、みんなに見せるのは、恥ずかしいときもありますよね。そういうときは、私の場合は、自分が着慣れた定番のものをプラスすると思います」
そんなKASUMIさんにとって、いままでもこれからも、ずっと変わらず好きなものといえば、やっぱりデニム。
「デニムは気取らずにいられる自分の服。恥ずかしがらずにどこへでも...いや大体のところには行けるかなと思います(笑)」
Interview Photo Gallery
ソージュ代官山サロンがオープンした2018年、壁にはKASUMIさんがモデルのキービジュアルが飾られていました。